年金法の改正について

年金法改正の6つのポイント

今回、年金法が大幅に改正される法案が国会に提出され、5月30日に衆議院で可決されました。

この改正内容について考えてみたいと思います。今回の改正は、大きく6点です。

一つ目106万円の壁の撤廃です。これは、厚生年金や健康保険に加入する要件である年収約106万円(月額8.8万円)を廃止し、それに伴う要件としてあった勤務先の規模要件も51人以上から最終的には撤廃するというものです。

二つ目65歳以上で働く人の意欲に報いる制度とするというもので、65歳以降に働いて年金と賃金の合計が月額50万円を超えるとその分の年金が減額されていたのですが、その50万円を62万円に引き上げるというものです。

三つ目厚生年金の保険料や将来の年金額を算出する際に用いられる「標準報酬月額」には上限が65万円とされていたのですが、これを段階的に75万円に引き上げるというもので、高所得者層には保険料も上がりますし、将来受給する年金額も上がるということになります。

四つ目遺族年金制度の見直しです。遺族年金制度は、夫が亡くなり専業主婦や子育て中の妻が受け取ることを前提にした制度でした。そのため、60歳未満の夫は、妻を亡くしても遺族厚生年金を受け取ることはできませんでした。今回の見直しにより、60歳未満の夫も要件を満たせば受給できるようになります。一方で、これまで終身で受け取れていた母子家庭の受給は原則5年の有期給付となります。

五つ目加給年金(いわゆる年金の家族手当)の見直しです。老齢厚生年金では、扶養する配偶者や子がいる場合に年金に加算があります。この加算について支援の重点を配偶者から子へ移行するというもので、障害厚生年金や遺族厚生年金は、子の加算を新たに創設するというものです。

六つ目iDeCoの加入年齢が70歳未満まで加入が可能となります。60歳以降でも年金を受給していなければ加入できるというものです。

注目される遺族年金制度の見直し

この中で、遺族年金制度が最近話題になっています。これまでは妻のみ無期でもらえた遺族厚生年金が、生活再建の5年間という期限付きになったというものです。ただ、これまでは妻のみであったものが、夫も受給の対象者になります。

また、この制度改正により2000万円もらえる額が少なくなるということで注目されましたが、この場合は32年間遺族年金を受給したらということですので、1年あたりでは63万円程度になります。これならば年金をもらうより社会に出てしっかり働き、賃金をもらった方が良いのではないかと思います。

年金制度とともに求められる社会の意識改革

これまで、男は外で働き女は家庭を守るということを前提にした制度でしたが、これからは、男女区別なく社会に出て働き、同じように社会保険料を払い、同じように年金を受給するという制度になるということです。

そのため、社会全体がより一層男女平等を前提とした仕組みになるように取り組む必要があるわけで、年金だけでなく意識も、これまで以上に変えていかなければならないということになります。そうした社会になることは望ましいと言えます。

今日はこれまで。

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