次期市長選挙に立候補表明をするにあたっての記者会見

令和7年9月22日、次期市長選挙に立候補表明をするにあっての記者会見を行いました。

吉田浩之が目指す新しい行政のかたち「市民の声を市政に活かす」

この度、私、吉田浩之は伊那市議会議員を辞職し、市長選挙への出馬を決意いたしました。市民の皆様の声を最大限に反映し、未来の伊那市のために取り組むべき課題と、私が掲げる政策の方向性をご説明いたします。

I. 出馬決意の背景と所信

決意に至った経緯

市長選挙への出馬を決意したのは、この1週間ほどの期間です。当初、時期を先延ばしにすることも考えていましたが、多くの支援者の方々から「すぐにすべきだ」「早く選挙活動に移るべきだ」といった激励の声を多数いただき後援会長をはじめ関係者と相談の上、決断を早めました。 なお、私には特定の所属政党はありません(無所属)。

市議会議員としての活動と辞職について

市議会議員(1期目)の辞職については、9月30日をもって行う予定です。任期途中の辞職は総務文教委員会の副委員長や特別委員会の委員としての活動が途中になってしまうという点で大変心苦しいが、市長選挙への出馬を優先させていただきました。
私は地域(富県地区の住民)からの推薦を受け市議会議員となりました。議員としては、議会選出の監査委員を最初から務めるなど、全市的な視点で行政に関わってきました。また、議会では市長としっかり議論するため、最近は現市政の取り組みに対し「批判ではなく、対峙するような意見」を一般質問で発してきました。

II. 現市政(長期政権)への評価と課題

現市政(4期16年)が長期間にわたる中で、以下のような課題が生じていると認識しています。

長期政権による弊害

  • 議会との慣れ合い:長期間にわたることで、議会と市長との間に慣れ合いや親しい部分が生じ、お互いに厳しい意見を言いづらい状況が生まれています。
  • 十分な議論の不足:慣れ合いにより、議会で十分な議論がなされていない可能性があります。
  • 職員の意見具申の困難さ:現市長が理事者として20年以上にわたり在任しているため、職員が市長に対して意見や提案をすることが難しくなり、職員が忖度しがちになっている現状があります。実際に職員から「こういう指示が出た」といった声も聞いています。
  • 特定の関係者の優遇:市長と親しい関係の人が、伊那市の協議会や各種委員会などの場に、特定の人が多く出ている傾向があり、多様な意見や人々の声が届きづらくなっていることが懸念されます。

政策・行政運営上の課題

  • 身近な課題への対応不足:現市長は「新産業技術」に力を入れ、モバイルクリニックやモバイル公民館などを活用していますが、一方で市民に身近な部分(例:道路整備など)への対応が手薄になっている状況が見受けられます。地域の要望で同じ個所が何年も継続して出されているにもかかわらず、改善が進んでいないケースがあります。
  • 行政DXの遅れ:市役所内のデジタル・トランスフォーメーション(DX)が進んでいません。例えば、会計年度任用職員の出勤確認は、毎日ハンコを押し、それを事務方が手計算で集計するといった昭和の時代のような取り組みが残っています。管理者が確認すれば計算できるような簡単なシステムを導入し、効率化を図るべきです。

現市政に対する評価できる点

現市政において評価できる点としては、外部への発信が非常に上手であることです。東京圏のテレビ番組に出演するなど、それまでの伊那市の姿勢では見られなかった発信力を示しています。

III. 吉田浩之が目指す政策の方向性

私が考える行政の役割は、市が主体的にハイテクな新産業技術に取り組むことではなく、企業や大学の研究機関が行うものをバックアップ・支援していくことであると考えます。
今後は、市民生活の向上、公共の福祉に資する以下のソフト部分に力を入れていく必要があります。

重点分野具体的取り組みと方針
子育て・教育支援ハード面だけでなくソフト面でも支援。未就学児の途中入園や、病児病後保育の受け入れが難しい現状を改善し、いつでも受け入れられる状況を整備します。伊那市が誇る伊那小での総合学習など、既存の素晴らしい取り組みを充実させ、学力向上に繋げます。
福祉の充実介護認定プロセスの迅速化:現在、認定に1~2ヶ月かかる状況を改善し、施設入所が必要な家庭が早く対応を受けられるように取り組みます。農福連携など、新しい福祉のあり方を模索します。
産業・経済の支援若者の起業・スタートアップ支援:既存企業だけでなく、若者がこの地域でやりがいを見つけられるよう、スタートアップ支援を充実させます。

企業誘致の検証:既存企業との労働者の奪い合いになっている面や、税制優遇措置があることを踏まえ、企業誘致が本当に伊那市にとってプラスになっているか十分な検証が必要であり、積極的に進めていくとは言いきれません。

IV. 現行事業に関する見解

  • モバイルクリニック:利用者数が少ない(昨年、妊産婦検診55人、全体200人)にもかかわらず、来年度以降、地方創生交付金がなくなることで、維持管理に1500万円を一般財源等で組み替えなければなりません。他の財源で賄うことが難しく、維持管理費1500万円を有効に使うため、他の方法(例えば、医師の支援、輸送手段の確保など)を検討する必要があります。
  • モバイル公民館:実際にはスクリーンとプロジェクターを用いたパブリックビューイング的な利用が中心であり、はるかに経費の安い方法で対応可能です。

行政が取り組む事務は、赤字・黒字で判断するものではなく、市民の公共の福祉に資するかどうか、そして税金の使われ方として適切かどうかを、効率面を含めて判断していく必要があります。

V. リーダーシップと任期に関する考え

理想の市長像

多様な意見に耳を傾け、「耳の痛いこと」であっても聞く姿勢を大事にします。自分から「この方向に進むべきだ」と意見を押し付けるのではなく、市民の皆さんの声の中から、公共の福祉や市民の幸せにつながる政策を一つ一つ検証し、最終的に判断を下すのが市長の役割であると考えます。

適正な任期に関する考え

市長の任期については3期を最長と考えています。 できれば、自身の期間だけでも任期を3期までとする条例を作ることも検討すべきだと考えています。 また、市民の声が聞けなくなったり、耳の痛い意見に耳を傾けられなくなったりした時点では、それが1期目の途中であっても、潔く辞めるべきだと考えます。

吉田浩之市議を励ます会による市長選出馬要請(2025年9月9日)

吉田浩之市議を励ます会による市長選出馬要請(2025年9月9日)

質疑応答(要約版)

現職市長の評価と課題は?

市長は活動的に運営をしてきた一方、4期16年と長期にわたる中で道路整備など市民生活に直結する部分が求められてきている。

具体的に市民が困っていることは?

公共施設に冷暖房がなく、高齢者や行事参加者が負担を感じている。
若い女性の定着が難しく、人口減少が進んでいる。

吉田浩之市議を励ます会の吉澤会長と吉田議員の関係は?

親戚関係ではなく、同じトルコギキョウ農家仲間。吉田議員が新規就農した際に、吉澤会長が手厚く指導した。

現市長の4期16年への市民の声は?

「長すぎるのでは」との意見が強く、長期政権で硬直化する懸念から新しい市政運営を望む声が高まっている。
市政のパターン化で市民の声が届きにくくなる懸念もある。

吉田議員の市政への見方は?

先進的取り組みもさることながら市民の声を大切にすることも重要。「市長と語りた伊那」の開催が減少し、市民の声を直接聞く機会が少なくなっているようだ。

立候補要請への回答時期は?

議会や農業の繁忙期のため現時点での回答は難しいが、2~3か月も先送りせず早めに判断するつもり。

出馬要請の声はいつから?

市議当選直後から声はあったが具体性は薄く、今年に入り要請が増えた。